「システム開発に活用できる事業再構築補助金」について解説いたします。
事業再構築補助金の採択率を上げるには、事業再構築指針と審査項目を理解し、これらに沿った事業計画を作成する必要があります。
事業再構築指針と審査項目から、システム開発を活用した事業再構築補助金の採択率を上げるポイントを見ていきましょう。
大胆な事業転換ではあるが、既存事業とのシナジーを活かした取り組みであるか?
事業再構築補助金では、新商品・新サービスをこれまでの顧客層とは異なるターゲットに提供する事業が対象です。業種を転換するなどの大胆な事業の再構築を行うものであるかを評価しますが、既存事業とのシナジーを活かした効果的で、実現可能性の高い取り組みであることも評価します。
独自のノウハウや属人的なスキルといった暗黙知の強みを形式化してシステム開発に活用し、新しい市場に挑戦するというストーリーが考えられます。
例えば、アパレルの卸売事業者がバイヤーのファッションセンスとAIを活用して、一人ひとりにあったファッションを月ごとにレンタルするサブスクリプションサービスを展開します。ファッションセンスという暗黙知を形式知化し、さらにAIを活用することである程度の規模の経済にも対応し、売上を向上させます。バイヤーのファッションセンスという既存の強みを活かしつつ、これまでの顧客とは異なる消費者を対象にすることで事業転換を図っています。
先端的デジタル技術もしくはビジネスモデルの構築を通じた取り組みであるか?
AIやIoTなどの「最新技術」を使った事業であるか、もしくは最新の技術は使っていないが「ビジネスモデル」に革新性を持たせた事業であるかが審査ポイントとなります。
「最新技術」はキーワードとして分かりやすく評価されやすいため、まずは、検討しているシステムに「最新技術」を導入できるかを検討します。次に、「最新技術」を活用しない場合は、「ビジネスモデル」で革新性を持たせることができるかを検討します。
審査項目には、「先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域やサプライチェーンのイノベーションに貢献し得る事業か。」とあります。
この「地域やサプライチェーンのイノベーション」とは、目の前の顧客のニーズを満たすだけでなく、社会課題を解決できるビジネスであることと解釈できます。視座の高い、社会貢献まで見据えた取り組みとなるストーリーを組み立てます。
例えば、自治体の移住情報を掲載するポータルサイトを開発し、自治体と移住希望者とのマッチングサービスを提供します。このサービスによって地域創生の社会課題を解決し、地域の活性化に貢献するという、より大きなゴールを目指すことで評価されやすくなります。
中長期での補助事業の課題を検証できているか?
システム開発はリリースして終わりではなく、リリース後にPDCAを回し改善する仕組みを組み込みます。これは、継続的な改善を行って競合との差別化を図り、付加価値を高めていく必要があるためです。
例えば、リリース後に定期的にユーザビリティテストを行って実際のユーザの声を聞き、そこから収集した課題や要望をシステムに反映する運用サイクル等が考えられます。
付加価値を向上させる取り組みであるか?
事業再構築補助金の必須要件には、「補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3.0%~5.0%以上増加させること。又は従業員一人当たり付加価値額を年率平均3.0%~5.0%以上増加させること。」とあります。
付加価値とは、営業利益に人件費と減価償却費を足し戻したものになります。
システム開発の場合、業務効率化を目的としたものも考えられますが、単に事務処理の負荷を軽減するだけでは人件費の削減に繋がっても付加価値の向上には繋がらないため、事業再構築補助金の要件を満たすことができません。システム開発によって新しいサービスを提供し、売上を増加させるストーリーが必要となります。
弊社では、システム開発経験のあるコンサルタントが事業再構築補助金をはじめ各種補助金の申請支援を行っております。
システム開発を伴う事業で補助金を検討されている事業者様はお気軽にお問い合わせください。
<関連記事>
システム開発に活用できる事業再構築補助金:何に使えるの?
システム開発に活用できる事業再構築補助金:「情報通信業」の事例