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第10回事業再構築補助金【成長枠について】

ものづくり補助金

3月30日に第10回事業再構築補助金の公募が開始されました。今回から大きく制度が変わります。複数回に分けて解説していきますので、どうぞご確認ください。今回は第10回から新設された「成長枠」についてです。

事業再構築補助金事務局資料
事業再構築補助金の概要
公募要領

 「成長枠」は成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者を支援する枠です。必須要件である付加価値額については年率4%以上増加させる計画であることが求められます。その他2つのことを満たす事業計画を立てる必要があります。

①補助事業で取り組む事業が過去から今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属して いること。
②事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させることです。

 ①の市場に関する要件ですが、対象となる業種業態は事務局で指定されています。また指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨データ等を提出し、認められた場合には、対象となり得ます。過去の公募回で認められた業種・業態については、その後の公募回では指定業種として公表します。

 さらに期間についてですが、過去 10 年で示す場合、コロナによる特異的な影響を除外するため、原則コロナ前である 2019 年までの期間とします。コロナ後の期間を含んでいる場合でも、 コロナによる特異的な影響を受けていないと考えられる場合、例えば、コロナ後に市場規模 が急増したが、市場環境の変化によりそれが中長期的なトレンドであると考えられる場合 は認められる可能性があります。しかし2019 年だけ極端に値が上昇していたり、期間期間の半ばに市場規模が落ちている等上昇傾向にあると見られない場合は「成長枠」の対象業種・業態と見なされません。

 また、この要件を満たすことを説明する書類も提出する必要があります。まずは市場拡大要件を満たすことを説明する書類も申請時に事業計画書と一緒に提出する必要があります。これには取り組む事業の業種・業態が事務局から指定されている業種・業態であることを記載する必要です。

 取り組む事業が指定されていない業 種・業態である場合には、過去から今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上拡大する業種・業態であることを示す必要があります。それには政府による公的統計や政府文書による推計の他、業界団体等が作成した統計や推計、著名な第三者機関が公表している業界レポート等信頼性の高いデータ・統計等の活用及び添付が求められています。また、その出典についても明確に記載しなくてはいけません。なお、審査の結果、市場拡大要件を満たすと認められなかった場合には、不採択となります。

 ②の給与総額を増加に関する要件についてです。補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年率平均で2%(賃上げ加点を受ける事業 者は3~5%。)以上増加させる計画を作成し、適切に実行する必要があります。また申請時に賃金引上げ計画の誓約書を提出します。また、正当な理由無く、計画の水準に達していなかった場合には、その事業者名が公表されますので注意してください。

 補助金額は、下限額が100万円、上限額は従業員数によって変わり、2,000万円~7,000万円となっています。
 補助率は中小企業者等は1/2、中堅企業等は1/3です。ただ大規模な賃上げを行う場合は、中小企業等は2/3、中堅企業等は1/2へ引き上げられます。ここでいう大規模な賃上げとは事業終了時点で、事業場内最低賃金+45 円、給与支給総額+6%を達成することです。ただ補助率の引き上げを狙うために、例えば令和6年度に6%引上げた後、令和7年度に12%下げることによって、令和8年度以降の 年率平均2%以上増加させる要件を容易に達成することは認められません。継続的に賃金を引き上げる必要があります。

さらに「成長枠」は事業実施期間中に中小企業から中堅企業へ成長する事業者等に対する上乗せ枠(卒業促進枠)又は継続的な賃金引上げに取り組むとともに従業員を増加させる事業者に対する上乗せ枠(大規模賃金引上促進枠)のいずれかに応募することが可能です。このことについては、別のページで解説します。

 

 

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この記事を書いた人

平阪 靖規

平阪 靖規

2012年4月に「中小企業診断士」登録。2013年04月の独立後より補助金を始めとする中小企業施策の支援に従事。中小企業施策を企画する行政と利用する中小企業・小規模事業者の橋渡し役としての任務を全うすることに力を注いでいる。株式会社コムラッドファームジャパン 代表取締役。

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