先週12月5日(金)に政府は今後の経済対策を閣議決定しました。
この経済対策の中には「中小企業・小規模事業者の生産性向上のための環境整備」という支援が盛り込まれているのですが、この部分から2020年以降の補助金動向が見えてきました。
2020年以降の補助金動向には2つポイントがあります。
今回はこの2つのポイントについて解説していきたいと思います。
従来の補助金はほぼ「継続」
閣議決定した経済対策のうち、取り組む施策として以下が取り上げられています。
Ⅱ.経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援
1.中小企業・小規模事業者の生産性向上のための環境整備
(1)設備投資導入促進、IT・デジタル技術の実装支援
(2)中小企業・小規模事業者で働く人たちへの支援
(3)取引構造適正化の更なる推進
(4)経営者保証の解除など事業承継・事業再構築の加速化※青字部分は筆者が強調表記
このうち、「(1)設備投資導入促進、IT・デジタル技術の実装支援」の中には、以下支援が含まれています。
・ 中小企業生産性革命推進事業(経済産業省)
この「中小企業生産性革命推進事業」は、2019年(今年)も同じ名称の事業が行われており、その内容がまさに「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」に該当します。
よって、2020年に「ものづくり補助金」、「小規模事業者持続化補助金」、「IT導入補助金」が行われることはほぼ確定したと考えられます。
また、上記重点施策のうち、「(4)経営者保証の解除など事業承継・事業再構築の加速化」の中には、以下支援が含まれています。
・ 事業承継・世代交代集中支援事業(経済産業省)
この「事業承継・世代交代集中支援事業」についても、2019年(今年)に同じ名称の事業が行われており、その内容が「事業承継補助金」に該当します。
よって、2020年は「事業承継補助金」が行われることもほぼ確定したと考えられます。
なお、各補助金の予算がどれくらいになるのかはまだ確定していませんが、前述の「Ⅱ.経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援」全体で3.1兆円程度の財政支出を見込んでいます。単純に比較することはできませんが、前回の補正予算(平成30年度補正予算。経済対策が中心。)が3兆円であることを踏まえると、今回の各補助金も今年とほぼ同規模になるのではないかと予測できます。
補助金を「基金化」する流れ
閣議決定した経済対策のうち、前述の「(1)設備投資導入促進、IT・デジタル技術の実装支援」には以下のような記載があります。
(1)設備投資導入促進、IT・デジタル技術の実装支援
中小企業・小規模事業者がこれらの相次ぐ制度変更に対応していくため、先端技術の実装をはじめ、生産性向上に資する取組への支援として、革新的な製品・サービス開発のための設備投資支援や、小規模事業者に特化した販路開拓支援、ITツールの導入支援等を複数年にわたり継続的に実施する仕組みを構築し、国として必要な財源を確保する。※青字部分は筆者が強調表記
上記青字部分の「複数年にわたり継続的に実施する仕組みを構築し、国として必要な財源を確保」は、基金化することだと考えられます。
補助金が「単年度ごとの交付決定」であるのに対し、基金化されると「事業期間全体を通じた複数年度の交付決定」が可能となります。つまり、基金化されれば事業期間(投資が可能な期間)を延ばすことができます。
イメージは以下の通りです。
2020年の補助金で基金化がどこまで対応されるかはまだ確定していませんが、ものづくり補助金など、設備投資(納期)に時間を要することが多い事業については、基金化していく流れになることは予測できます。
まとめ
今回の記事のまとめです。
- 2020年も「ものづくり補助金」、「小規模事業者持続化補助金」、「IT導入補助金」、「事業承継補助金」の継続はほぼ確定
- 補助金は今後基金化され、複数年度の事業(投資)が可能となる可能性が高い