本ブログの5月23日と7月12日にお伝えしましたが、現在、「令和3年度補正予算 事業承継・引継ぎ補助金」と「令和4年度当初予算 事業承継・引継ぎ補助金」という年度の違う予算で、2つの事業承継・引継ぎ補助金が実施されています。この2つの公募要領を比較すると相違点がありますので、今回のブログではこの点についてご紹介します。
おさらいですが、この事業承継引継ぎ補助金は、事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。
申請枠は、①経営革新事業、②専門家活用事業、③廃業再チャレンジ事業の3つが設けられています。
以下の表は3つの申請枠の相違点をあらわしたものです。
①経営革新事業
事業再編・事業統合に伴う中小企業者等の事業承継を契機とする新たな取組(設備投資、販路開拓等)や廃業に係る経費の一部を補助する事業として、「創業支援型」、「経営者交代型」及び「M&A 型」の 3 類型が設けられています。
令和3年度補正予算(第2回公募) | 令和4年度当初予算 | |
スケジュール | 公募受付開始:7月27日 公募締切:9月2日 補助事業期間:~2023年4月30日 |
公募受付開始:7月25日 公募締切:8月15日 補助事業期間:~2022年12月16日 |
公募回数 | 全4回(予定) 令和4年度と申請期間が重なるのは第2回 |
1回 |
補助対象者 | 一定の要件を満たす中小企業者+ 以下のいずれかに該当すること ①小規模事業者 ②直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者 ③新型コロナウイルス感染拡大以前と比較して売上げ高が減少している者 ④再生事業者 |
一定要件を満たす中小企業者 |
補助対象事業 | 認定経営革新等支援機関の署名がある確認書により確認される以下の事業 ①デジタル化に資する事業 ②グリーン化に資する事業 ③事業再構築に資する事業 |
認定経営革新等支援機関の署名がある確認書により確認される以下の事業 ①新商品の開発又は生産 ②新役務の開発又は提供 ③新商品の新たな生産又は販売の方式の導入 ④役務の新たな提供の方式の導入 ⑤事業転換による新分野への進出 ⑥上記によらず、その他の新たな事業活動による販路拡大や新市場開拓、生産性向上等、事業の活性化につながる取組等 |
事業承継対象期間 | 2017年4月1日から2023年4月30日 | 2017年4月1日から2022年12月16日 |
補助率 | 2/3以内 (補助額が400万円を超える部分は1/2) |
1/2以内 |
補助上限額 | 600万円以内 (生産性向上要件を満たさない計画の場合補助上限額は400万円) |
500万円以内 (生産性向上要件を満たさない計画の場合補助上限額は300万円) |
事前着手制度 | あり(ただし第2回公募以降は対象外) | なし |
加点項目 | ・新型コロナウイルス感染症拡大以後(2020年1月以降)に承継をしていること。(補助対象期間中の承継も含む) | ・賃上げに関して、要件を満たす計画を策定し、従業員に表明していること ・再生事業者であること |
令和4年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の概要資料一部改編
②専門家活用事業
後継者不在により、事業継続が困難になることが見込まれている中小企業者等が、地域の需要・雇用の維持や新たな需要・雇用の創造を図り我が国の経済を活性化させるため、事業再編・事業統合による経営資源の引継ぎを行う取組の経費を補助する事業で、買い手支援型(Ⅰ型)、売り手支援型(Ⅱ型)と2つの類型があります。
令和3年度補正予算(第2回公募) | 令和4年度当初予算 | |
スケジュール | 公募受付開始:7月27日 公募締切:9月2日 補助事業期間:~2023年4月30日 |
公募受付開始:7月25日 公募締切:8月15日 補助事業期間:~2022年12月16日 |
公募回数 | 全4回(予定) 令和4年度と申請期間が重なるのは第2回 |
1回 |
加点事由 | 【買い手支援型・売り手支援型共通】 ・中小企業基本法等の小規模企業者【売り手支援型のみ】 ・直近決算期の、営業利益または経常利益が赤字の者 ・2020年4月1日以降に決算が行われた任意の事業年度の売上高が、2020年3月末日までに決算が行われた事業年度のうち、最新の事業年度の売上高と比較して減少していること |
ー |
補助率 | 2/3以内 | 1/2以内 |
補助上限額 | 600万円以内 | 400万円以内 |
事前着手制度 | あり(ただし第2回公募以降は対象外) | なし |
委託費の相見積取得不要要件 | 2022 年 7 月 20 日前に締結した FA・M&A 仲介業者との委任契約に専任条項があり、相見積を取得することが FA・M&A 仲介業者との契約上困難な場合は、当該補助対象経費について、相見積の取得は不要 | 2022 年 7 月 7 日前に締結した FA・M&A 仲介業者との委任契約に専任条項があり、相見積を取得することが FA・M&A 仲介業者との契約上困難な場合は、当該補助対象経費について、相見積の取得は不要 |
令和4年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の概要資料一部改編
③廃業・再チャレンジ
廃業・再チャレンジを行う中小企業者等に対する支援であり、以下の行動を伴う廃業が対象となります。
(1)事業承継またはM&Aで事業を譲り受けた後の廃業
(2)M&Aで事業を譲り受けた際の廃業
(3)M&Aで事業を譲り渡した際の廃業
(4)M&Aで事業を譲り渡せなかった廃業・再チャレンジ
令和3年度補正予算(第2回) | 令和4年度当初予算 | |
スケジュール | 公募受付開始:7月27日 公募締切:9月2日 補助事業期間:~2023年4月30日 |
公募受付開始:7月25日 公募締切:8月15日 補助上限額:~2022年12月16日 |
公募回数 | 全4回(予定) 令和4年度と申請期間が重なるのは第2回 |
1回 |
補助率 | 2/3以内 | 1/2以内 |
補助上限額 | 150万円以内 | 150万円以内 |
事前着手制度 | あり(ただし第2回以降は対象外) | なし |
令和4年度当初予算事業承継・引継ぎ補助金の概要資料
主な相違点をお伝えしましたが、補助率や補助上限額、補助事業期間また①経営革新事業においては補助対象事業が異なります。事業承継・引継ぎ補助金の活用をご検討されている事業者様においては、事業承継及びM&Aを実施するタイミング及び事業承継後、どのような事業を行うのか等を考慮されて、どちらか相応しい方を選択して頂きたいと思います。