「日本産酒類海外展開支援事業」は酒類事業者による、日本産酒類のブランディング、インバウンドによる海外需要の開拓などの海外展開に向けた取組を支援する補助金です。
令和5年度補正予算が7億円であり、1件あたりの上限が1,000万円(1者の場合)なので、もし単独申請のみで全申請者が上限額まで申請した場合は、採択件数は凡そ70件となります。
前身となる「海外展開・酒蔵ツーリズム補助金」の直近の令和4年度第2次補正予算(2023年4月28日締切り分)では、113件の応募に対して、55件の採択(採択率48.7%)、令和3年度予算第3期では23件の応募に対して15件が採択(採択率65.2%)されており、採択率から見ましても、他の国の補助金同様、十分に採択が狙える補助金であると考えてよいでしょう。
しかし、「出せば100%通る」補助金ではありません。
そこで今回は、採択攻略法について深堀りしてみましょう。
審査項目として、まず「補助対象者」が「補助対象事業」を満たすこと。
参照記事日本産酒類海外展開支援事業(補助金) 「誰が、何に使えるの?」
次に、ここからが本番ですが、下記のような項目を、事業計画書(A4用紙15枚)で、図やグラフ、表なども活用しながら、定性面、定量面で、説得力を持たせて分かり易くぎっしりと書き上げていく必要があります。
(1) 現状分析
(2) 新規性・先進性
(3) 優位性
(4) 事業実施体制の妥当性
(5) 目標、事業内容の妥当性
(6) 必要経費の妥当性、事業の収益性
(7) 事業の持続性及び将来的な事業展開の可能性
また、事業の経費が全て設備投資であり、かつ、設備の導入のみで完結する事業については、審査に当たって評価が低くなります。はっきり申しますと、設備投資だけではほぼ採択されない、と考えてよいです。
なぜなら、この補助金は「海外に展開する、インバウンドに訴求する」販路開拓を目的にしたものであるからです。
具体的には、前身となる「海外展開・酒蔵ツーリズム補助金」で実際に採択された事業名をいくつか見ていきましょう。
(1)日本産酒類の海外展開
- 海外展開を見越したウイスキーの製造体制再構築による原酒の差別化、増産体制の確立
- 欧州最大B2Bマッチングサイトでの大手チェーン店への販路拡大
- 日本産木材による世界に通用する価値創造とブランディング事業
- 老舗企業のリブランディングと市場にあわせた新製品投入による新規海外需要開拓
- ジャパン・ハウス主催イベントへの出展を通じた認知及び販路拡大事業
- 欧米プレミアムスピリッツ市場に向けた木樽蒸留器製スピリッツ及び焼酎のブランド展開
(2)酒蔵ツーリズムの推進
- ニセコを拠点とした「北海道プライベート酒造周遊ツアー」の開発
- ガラス越しではない生の「醸造所見学ツアー」の魅力向上と受け入れ環境の整備
- 体験型の店舗を活用したインバウンド誘客と富裕層市場の開拓
- 日本酒文化探訪できる蔵人体験ツアー造成事業
いかがでしょうか。
設備投資にこの補助金を使う場合は、
「設備投資することにより、新商品開発に着手して海外に出て十分に戦える差別化要素を生み出す、マーケティング調査を行う、実際に海外に展開するための具体的な販路拡大施策や、ブランディング施策を取る。」
等と言った、海外展開に向けた一連の計画を構築していく必要があるのです。
日本産酒類海外展開支援事業(補助金) 「誰が、何に使えるの?」
日本産酒類海外展開支援事業(補助金) 「いくらもらえるの?」
日本産酒類海外展開支援事業(補助金) 採択されて後悔?ここに気を付けて!
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