政策パッケージ、政策パッケージを実行するための予算「令和5年度補正予算案」が閣議決定されたことによって次年度の補助金動向が見えてきました。
そこで数回に分けて2024年度の補助金動向について分かりやすく解説していきます。
今回は「ものづくり補助金」のその後について見通しを解説いたします。
一部類型の見直しがあるもほぼ同じ内容で継続実施
次年度のものづくり補助金の枠組みは以下のように発表されています。(2023/12/06に最新情報が発表されましたので最新情報にしました。)
申請類型 |
補助上限額 | 補助率 | |
① 省力化(オーダーメイド)枠 | 5人以下 750万円(1,000万円) 6〜20人 1,500万円(2,000万円) 21〜50人 3,000万円(4,000万円) 51人〜99人 5,000万円(6,500万円) 100人以上 8,000万円(1億円) |
中小:1/2※ 小規模・再生:2/3 ※1,500万円までは1/2、1,500万円を超える部分は1/3 |
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② 製品・サービス高付加価値化枠 | 通常類型 | 5人以下 750万円(850万円) 6〜20人 1,000万円(1,250万円) 21人以上 1,250万円(2,250万円) |
中小:1/2 小規模・再生:2/3 新型コロナ回復加速化特例:2/3 |
成長分野進出類型 (DX/GX) |
5人以下 1,000万円(1,100万円) 6〜20人 1,500万円(1,750万円) 21人以上 2,500万円(3,500万円) |
2/3 | |
③ グローバル化枠 | 3,000万円(4,000万円) | 中小:1/2 小規模:2/3 |
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大幅賃上げ特例:補助事業終了後、3〜5年で大幅な賃上げに取り組む事業者に対し、上記枠の補助上限額を100〜2,000万円上乗せ(※新型コロナ回復加速化特例を除く)①〜③の補助上限額( )については、特例適用時の上限額。 |
これまでの申請類型と比較すると以下のように変わっています。
今年度の枠 | 次年度の枠 |
通常枠 | ② 製品・サービス高付加価値化枠「通常類型」に名称のみ変更 ※補助率、補助上限額などは変化なし。 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 廃止 |
デジタル枠 | ② 製品・サービス高付加価値化枠「成長分野進出類型(DX/GX)」に変更 ※DX/GXともに同じ補助上限額が適用される場合、上限額は従来より増加。 |
グリーン枠 | ② 製品・サービス高付加価値化枠「成長分野進出類型(DX/GX)」に変更 ※細かい類型がなくなりスッキリとした申請枠に戻るかもしれない。 |
グローバル市場開拓枠 | ③ グローバル化枠に名称のみ変更 ※補助率、補助上限などは変化なし。 |
➖ | ① 省力化(オーダーメイド)枠は新設 |
以上のように並べてみればいくつか類型が整理・新設・廃止されていますが、最もよく利用される「通常枠」や「DX/GX」のところは大きな変更は見られませんので、従来通りの内容で申請できると考えていただいて問題ないです。
予算額も今年度と同じ額が計上されていますので、引き続き3〜4ヶ月おきに公募されるものと想定されます。
(2023年12月1日追記&12月6日追記)令和5年度補正予算のものづくり補助金の概要発表
2023年12月1日、中小企業庁からの発表資料が更新され令和5年度補正予算のものづくり補助金の情報が出てきました。
令和5年度補正予算では2回程度の公募を実施予定とのこと。
また、実績報告の最終期限として令和6年12月10日まで公表されました。
引用:中小企業庁 HP
つまり、令和5年度補正予算で実施されるものづくり補助金は設備導入からその報告までの全てを令和6年12月10日までに終えなければならないということです。
そうすると、その3〜4ヶ月前には公募が完了している必要があるため、最終の申請締切は8〜9月頃になると想定されます。
ただ、設備の発注から納品までそれなりに時間がかかることを想定すると最終回の申請だと設備の納期が間に合わず断念しなければならないところも多くなりそうです。
そうすると余裕を持って申請するためには令和5年度補正予算で実施される1回目の申請回で出すことが必須であると考えられます。
さらに、2023年12月6日に中小企業庁より続報が発表されました。
引用:中小企業庁 資料「ものづくり・商業・サービス 生産性向上促進補助金について」
詳細は後述しますが、最新の情報を踏まえたものづくり補助金の公募予想は以下となります。
弊社では、次回の公募は令和4年度補正予算で行われ、次々回の公募から令和5年度補正予算で公募されると予想しています。が、17次から令和5年度補正予算で運用となると、17次・18次の2回で終了ということも可能性はあります。
今回の発表にて、次回17次公募より令和5年度補正予算を基に公募が行われることが明言されました。
公募回 | 公募開始 | 公募終了 | 採択発表 |
16次(終了) 令和4年度補正予算 |
2023/07/29 | 2023/11/07 | 2024/01頃 |
17次 令和5年度補正予算 |
2023/12頃 | 2024/03頃 | 2024/05頃 |
18次 令和5年度補正予算 |
2024/03頃 | 2024/06頃 | 2024/08頃 |
令和5年度補正予算においては、公募が2回程度と発表されていますので、17次・18次の2回がものづくり補助金の公募予定となります。
予算が余れば19次が募集される可能性はありますが、実績報告の最終期限が令和6年12月10日となっていますので、事業期間が極端に短くなって申請できる先はほぼないと考えられます。(過去、事業期間1〜2ヶ月で公募されたこともありますのでゼロとは言いませんが…)
ものづくり補助金が確実に活用できる機会もあとわずかですので、準備早めに進めていくことをお勧めいたします。
新設される「省力化(オーダーメイド)枠」とは
ものづくり補助金で新たに「省力化(オーダーメイド)枠」が新設されます。
これは事業再構築補助金の再編によって新設される「中小企業省力化投資補助金(以下、省力化補助金)」との関連でできるものと想定されます。
省力化補助金は「カタログ」型としてあらかじめ登録された汎用製品の導入を支援するものになりますが、企業ごとにカスタマイズやスクラッチでゼロから作る設備が必要になる会社もあります。
そうしたニーズに対応するためものづくり補助金において「IoT、ロボットなどの人手不足解消に効果のあるオーダーメイド製品」の申請を別類型として設けたものと考えられます。
従来のものづくり補助金は、生産プロセス改善のテーマも要件としては申請できましたが、革新性のアピールが難しく採択されにくかった面があります。
しかし「省力化(オーダーメイド)枠」ができることで、自動化による生産プロセス改善というテーマが採択されやすくなることが想定され、ものづくり補助金で申請しやすいテーマの幅が広がってくると思います。
(以下、2023年12月6日追記)
「省力化(オーダーメイド)枠」についても詳細が発表されました。
対象事業
人手不足の解消に向けて、デジタル技術※1等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)※2の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援※3
※1 デジタル技術とはAI、ロボット、センサー等をいう。
※2 ロボット単体の導入ではなく、外部のシステムインテグレータ(Sier)との連携などによりロボットシステム等を構築したものをいう。
※3 基本要件に加えた追加要件あり(詳細は追って公表)
活用イメージ
例)熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer)と共同で開発したAIや画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・24時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
ここからわかることは、外部のシステムインテグレータと連携して複数のシステムを連携したシステムを導入する必要があるという点です。
ロボット単体の導入では対象にならないため、注意が必要です。
おそらく「ロボット単体」の導入は新設される「中小企業省力化投資補助事業(カタログ版省力化補助金)」を利用するという区分けがなされるものと想定されます。
その他の変更点
1、一定の投資規模がある事業者については口頭審査を実施
ものづくり補助金はこれまで書類審査のみで採択が決まりましたが、一定規模以上の投資をする場合はオンラインによる面接を実施することになりました。
事業計画書に書かれてない内容についても質問を行う可能性があるとのことです。
事業者様の意思で事業計画がなされているのかをより厳密にチェックしていくために実施されるものと思います。
2、厚生労働省の産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)との連携
「製品・サービス高付加価値化枠」で申請し採択・交付決定された事業者が、補助事業実施のための人材を新規採用した場合、250万円/人(※)の助成金を受けることができるようになりました。
(※)中小企業の場合。1事業主あたり「5人まで」、雇入から6ヶ月ごとに2回125万円ずつ支給されます。
人材採用も合わせて行うのであれば、助成金も合わせて活用ください。
助成金の活用にはその他いくつかの条件がございますので活用の際は以下サイトをご確認くださ。
引用:産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)
弊社は助成金申請が可能な社会保険労務士も在籍していますので、ものづくり補助金と合わせてワンストップで助成金相談にも対応することができます。
不明点などございましたらお気軽にご相談ください。
初回相談は無料で行っています。